株式会社ノベルワークス
home

TOP

keyboard_arrow_right

ブログ一覧

keyboard_arrow_right

【前編】AI時代、SIerの価値はどこに残るのか?関東・関西のkintoneトップランナーが語る「共創」の未来

満村

2026/06/11

【前編】AI時代、SIerの価値はどこに残るのか?関東・関西のkintoneトップランナーが語る「共創」の未来

生成AIの爆発的な進化により、「言われたものを形にするだけの受託開発は、近い将来その大部分がAIに置き換わる」と言われています。

「人月ベース」でお金に変える旧来の業態だけでは、もう生き残れないかもしれない――。

昨今、SaaSのエコシステムに参画するパートナー企業や、今後のキャリアパスに漠然とした不安を抱えているITエンジニアは少なくありません。 ユーザー企業にとっても、「どのベンダーに頼めば、AI時代における真のDXが実現できるのか」は大きな迷いどころです。

今回は、東京に拠点を置き全国のお客様に向けて「対面開発」「kintone専業SI」のパイオニアとして走る株式会社ジョイゾーの四宮靖隆氏と、大阪を拠点に「kintone×AI開発」や「成果報酬型の共創」を展開する弊社、ノベルワークス代表の満村聡による対談の前編をお届けします。

———「つくって納品するSI」の終焉とAI時代におけるSIの再定義、そして人間だからこそ発揮できる「真の上流の価値」とは。東西のトップランナーがkintoneエコシステムの未来を本音で切り開きます。

出演者プロフィール

四宮 靖隆(しのみや やすたか)氏 株式会社ジョイゾー 代表取締役社長

1976年3月東京都生まれ、 東海大学文学部卒業。
大学を卒業後、システム開発会社に入社。 システムエンジニアを目指すも一番やりたくなかったインフラ業務に従事するが、 この時期に身に付けたグループウェアの知識と経験が将来にわたってかけがえのない財産となる。
その後2010年にジョイゾーを設立。 2011年にサイボウズがリリースした業務改善プラットフォーム「kintone」に大きな可能性を感じジョイゾーのメインビジネスとする。 2014年6月に日本初のkintoneをベースにした「来店型」「定額」「初回無料」のSIサービス「システム39」をリリース。 kintone hack 2017優勝、2021年「御社にそのシステムは不要です。」出版など、現場知見に根ざした人間味のある発信力でエコシステムをリードする。
株式会社ジョイゾー 企業情報

満村 聡(みつむら さとし)株式会社ノベルワークス 代表取締役

大阪府生まれ。学生時代はアメリカンフットボールに熱中した体育会系エンジニア。新卒でIT業界に飛び込み、大手SIerのプロジェクトなどでインフラから業務システムまで幅広い開発やPL(プロジェクトリーダー)を経験。その後、株式会社ノベルワークスを設立。趣味はトレーニングで、その熱い体育会系マインドを組織づくりにも反映。関西を拠点に「kintone×AI開発」や「成果報酬型」など、テクノロジーと現場の共創を重視した次世代のSIを展開している。
株式会社ノベルワークス 企業情報 ]  

1.東のジョイゾー × 西のノベルワークス

前田(ノベルワークス/進行):
本日は東京にあるジョイゾーさんの本社にお邪魔しています。ノベルワークス所属、進行の前田です。
さて、今回は生成AIの台頭によって従来のSIビジネスが大きな転換点を迎える中、私たちはどのように価値を提供し、生き残るべきなのか。
kintoneエコシステムを牽引するお二人に、じっくりとお話を伺いたいと思います。まずはお二人の自己紹介からお願いします。

四宮 靖隆氏(以下、四宮):
ジョイゾー代表の四宮です。弊社はkintoneがリリースされた当初から、kintone専業のSI(システムインテグレーション)として事業を展開してきました。2014年からは、お客様と対面で画面を見ながらその場でシステムを構築する「システム39」という定額制の対面開発サービスを提供しています。
現在はSI事業以外に、プラグインの開発・販売や、DX人材を育成する「J Camp」、そして先日、AIを活用した新しいSIの形としての伴走サービス「スキル39」をリリースしました。

本日はAI時代のSIについて、ノベルワークスさんと深い議論ができることを楽しみにしています。

満村 聡氏(以下、満村):
ノベルワークス代表の満村です。実は弊社は、創業当時からずっとジョイゾーさんをリスペクトし、ビジネスモデルなどを徹底的に勉強させていただいてきました。

私がクラウドやAIの技術革新にふれた当時、最初に行き着いたのが、kintoneの第一人者として先進的な取り組みをされていたジョイゾーさんだったんです。「こんな対面開発をしている面白い会社があるのか」と大きな衝撃を受け、自分たちもそうありたいと走ってきました。
現在は弊社も、関西を拠点にkintone専業SIを主力とし、DX人材育成や自社プロダクトの開発・販売を行っています。

特に「kintone×AI開発」や「成果報酬型」といったアプローチに力を入れているため、四宮さんの新しいプランのお話も含めて、今日は非常にワクワクしています。

2.AIで「なくなってしまうSI」と「残っていくSI」

前田:
生成AIの進化によって、従来の「コーディング偏重・人月ベース」のSIビジネスは大きな岐路に立たされています。まず、AIによって「なくなってしまうSI」と「残っていくSI」の境界線について、どのようにお考えですか?

満村:
ずばり、「システムを構築すること自体」の大部分はなくなっていくと思っています。kintoneでアプリをつくったり、アプリをカスタマイズしたりするような、実作業の工程です。

従来のSIは「つくって納品すること」に多くの工数と人員を割いてきましたが、その「つくる」部分はAIの得意分野で、人間が手を動かす必要性は劇的に下がっていきます。

もちろん、最終的な品質担保やチェックは人間が行う必要がありますが、ただ言われた通りのシステムを作るだけのSIは、ビジネスモデル自体が成立しなくなるでしょう。

四宮:
私の率直な回答としては、変化のスピードが速すぎて「3年後ですら、どうなるかは誰にも分からない」というのが本音です(笑)。

ただ、あらゆる産業がAIによって再定義されるのは間違いありません。
「言われたものをただ形にするだけ」の仕事はAIに置き換わる。これは未来の話ではなく、現時点で起きている現実です。

従来のウォーターフォール型(要件定義・設計・開発・テストを経て納品する手法)において、開発やテストといった実務工程の8割〜9割はAIで代替可能になることはほぼ確定路線です。そのため、「人月ベースで対価をいただく」という旧来の業態そのものが消滅する可能性は極めて高いと感じています。

3.AI時代、SIerの真の価値(スキル・本質)とは?

前田:
システム構築そのものがAIに代替されるとすれば、AI時代にむしろ価値が高まる仕事、あるいは人間に求められるスキルとは何でしょうか。

四宮:
スキルという面では、大きく2つあると考えています。
1つは、顧客の業務を整理し、本質的な課題を見つけ出す「要件定義の力」。
もう1つは、AIが出した多様なアウトプットを評価し、最終的に『これでOK』と責任を持って「判断できる力」です。AIがどれだけ優秀になっても、それを「人間が使う業務システム」として最終チェックできるのは人間です。

しかし、AI時代にそれらのスキル以上に求められるのは、「その人の個性や人間味」だと思います。技術が均質化するからこそ、最終的にお客様は「この人と一緒に仕事がしたい」「この人だから信頼できる」という人間的な魅力を求めるはずです。

弊社が提供している「システム39」でも、まさにそこを重要視しています。技術力をアピールするのではなく、お客様に寄り添い、「次も〇〇さんにお願いしたい」と指名していただけるような関係性を築くよう、社員には常に伝えています。

満村:
四宮さんのおっしゃる通りですね。私たちの存在価値は「技術の提供」から、「顧客の意思決定と業務整理の支援、未来への伴走」へとシフトしています。

実はノベルワークスでは、将来的に「全員ホスト制」のような仕組みにしたいと考えているんです(笑)。
これはふざけているわけではなく、メンバーそれぞれの得意分野や個性をオープンにして、お客様から「この人の人間性に惹かれたから、自社のDXを手伝ってほしい」と指名される状態を作りたいという意味です。会社の看板ではなく、個人の魅力や「筋トレが好き」といったパーソナルな個性すらも価値になる時代が来ると思っています。

また、実務的なスキルで言えば、今後は「ドメイン知識(特定の業種・業界への深い知見)」がより強く求められると思います。
「この業種だからこそ、このデータをこう活用して、こういう成果を出すべきだ」という、ビジネスの成果に直結する要件定義ができるかどうか。

お客様自身も気づいていない、氷山の下に隠れた本質的な業務課題を先回りして見つけてあげられる伴走型のエンジニアは、これから凄まじく需要が高まるはずです。

前田:
技術の時代だからこそ、お客様に対する“思いやり”や“対話力”といった人間らしさが、SIerの新しいスタンダードになるのですね。
そう考えると、これからの日本のIT業界の未来はむしろ明るいのではないでしょうか。

四宮:
はい、大きなチャンスだと思います。日本は人口減少や深刻な労働力不足に直面していますが、その代替手段としてAIを武器にしつつ、一方で「人と人が信頼でつながって仕事をする」という本質的な価値に集中できるようになる。これは非常に良い傾向だと捉えています。

満村:
私は、これこそが日本企業にとって「最後のチャンス」だと思っています。この30年間、日本は世界の経済競争に遅れをとってきましたが、AIというレバレッジを使えば、これまでの遅れを一気に挽回する「ホップ・ステップ・ジャンプ」が可能です。

定型的な作業はAIに徹底的に任せ、人間は「人にしかできない共創の価値」で勝負する。そういう産業構造へ転換していきたいですね。

4.kintoneのポジションはどうなる?AIとの相性は?

前田:
次に、kintoneプラットフォームの未来について伺っていきたいと思います。AIによって誰でも簡単にアプリを作れるようになる中で、今後のkintoneというプラットフォームの立ち位置や強みはどのように変化していくと思われますか?

満村:
もしkintoneが単なる「アプリ作成ツール」のままであれば、今後は厳しくなるかもしれません。しかし、kintoneの真の価値は、AIと掛け合わせたときにこそ真価を発揮する「構造化された業務データ基盤」としてのポテンシャルにあります。サイボウズさんもまさにそこを研ぎ澄まそうとされていますし、それこそが次世代のビジネスインフラとして生き残るための最大の鍵になると見ています。

だからこそ、最近は私たちノベルワークスのSI提案も、その未来を見据えて明確に変えています。
これまでは「プラグインを使って見た目やUIを整える」という提案が主流でしたが、現在は「何のデータを蓄積し、そのデータを使って顧客のビジネスにどんな成果をもたらすか」というデータ活用、そしてプロセス管理や通知機能を用いた「業務のオートメーション化」にフォーカスしています。

最近では、お客様側も「画面の操作性」より「データの価値」を重視される傾向が強まっていると肌で感じますね。

四宮:
提案内容が変わったという点、非常に興味深いです。
ちなみに、従来のカスタマイズ開発が不要になる中で、マネタイズはどのように変化させているのですか?

満村:
弊社では、一連の業務の流れを自動化する仕組みの中に生成AIを組み込んだ、一歩先の業務フローをご提案しています。「このAIを組み込むことで、業務時間がこれだけ削減できる」という明確な価値を提示できるため、お客様にとっても投資対効果がイメージしやすく、非常に高い関心を示していただいています。
まさに「成果報酬型」に近い、新しいSIの形ですね。

四宮:
なるほど。
私が考えるkintoneの強みは、APIが非常に充実している点です。異なるシステム同士を繋ぐ「橋渡し役」として優秀であるため、「AIにとって極めて扱いやすいクラウドプラットフォーム」なんです。
これからのSaaSの生存条件は「人間にとって使いやすいか」だけでなく「AIがいかに操作しやすいか」に移りますが、kintoneはその思想に合致しています。

もう1つの決定的な強みは、「グループウェア」としての側面です。kintoneにはレコードのコメント欄やスレッドに、業務の経緯や文脈といった「構造化されていない定性データ(コンテキスト)」が自然と蓄積されます。
従来のシステムでは扱えなかったこの「現場の会話(コンテキスト)」を、現在の生成AIは高い精度で読み解き、活用することができます。

これは他の中小企業向けクラウドサービスにはない、kintoneならではの圧倒的な価値だと思います。


(前編はここまで。後編へ続く)

AIとkintoneの融合がもたらす、データ基盤としての新たな可能性。
前編では、システム構築そのものが代替される時代だからこそ輝く「人間味」や「コンテキスト」の価値について、本質的な議論が交わされました。

後編では、この思想を具現化した両社の新サービス『スキル39』『レクシンAI』の全貌、そして「なぜAIを入れても現場に馴染まないのか」というDXの核心的な壁へ迫ります。


\\  業務整理やAI×kintoneの活用に関するご相談はこちら //

本対談をご覧いただき、自社のDX推進や業務改善、AI活用について「まずは上流の業務整理からプロに伴走してほしい」と感じた方は、それぞれの窓口よりお気軽にお問い合わせください。