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すべてを作り直す必要はない ~既存システムを残しながら「kintone × AI」で業務を改善する「共存」という考え方 ~

ノベルワークス

2026/09/25

すべてを作り直す必要はない ~既存システムを残しながら「kintone × AI」で業務を改善する「共存」という考え方 ~

動いているけれど限界。「二重入力」に追われる現場のリアル

「10年以上前に大金をかけて導入した基幹システム。画面は使いにくいけれど、今さら変えられない」

「結局、基幹からCSVでデータを出してExcelに貼り付け、手作業で加工している」

「現場や外出先から見られないから、夜遅くに事務所に戻ってからPCに打ち直している」

中小〜中堅企業の経営者やIT担当者の方から、いま最も多く聞こえるのがこうした声です。

売上の集計や請求書の発行、正式な在庫管理といった「会社の数字」は、今のシステムで確かに正しく動いている。
けれど、現場が日々入力する日報、工事写真、お客様とのやり取り、進行状況といった「現場の生きた情報」を扱うには、あまりに硬く、融通が利きません。

その結果、「基幹に入らないからExcel」「出先で見られないから紙とLINE」「最後に誰かが基幹へ二重転記する」という膨大なムダ作業が発生し、現場の時間を奪い続けています。 

「全部入れ替える」なんて、予算も時間もリスクも合わない

「現場がこれだけ困っているなら、いっそシステムを丸ごと最新のクラウドに入れ替えようか」
そう考えたことのある方も多いはずです。

しかし、いざシステム会社に見積もりを取ると、目の前に高すぎる壁が立ちはだかります。

  • 数千万円〜億単位にのぼる莫大なリプレイス費用

  • 1〜2年がかりのプロジェクトと、現場にかかる膨大な打ち合わせ負担

  • 「もし移行に失敗して、日々の出荷や請求が止まったらどうするのか」という恐怖

何十年もかけて自社の業務に合わせてきた仕組みを、ゼロから作り直す体力もリスクも取れません。

「今のシステムを捨てるのは無理。でも、現場の手作業も限界……」

この板挟みの結果、多くの企業でDXが完全にストップしてしまっています。

捨てるな、壊すな。「現場の窓口」だけを新しくする「共存」の知恵

ここで知っていただきたいのが、「すべてを作り直す必要はまったくない」ということです。

目指すべきは、古いシステムを完全に廃止すること(全置換)ではありません。
「安定して動いている基幹システムはそのまま残し、現場が毎日使う画面や連絡の場所だけを新しくする」という【共存(Co-existence)】のアプローチです。

「金庫」と「窓口」で役割を分ける

共存の仕組みはとてもシンプルです。それぞれのシステムが得意な役割だけに専念させます。

  • 既存の基幹システム =「頑丈な金庫」 売上計算、請求発行、財務、正式な在庫確定など、「絶対に狂ってはいけないデータ」の保管・処理を維持します。

  • kintone =「使いやすい現場の窓口」 スマホからの写真添付、日報の入力、チャットでの進捗共有、問い合わせ対応など、「現場が毎日サクサク動くための入力」を担当します。

現場のスタッフは、使いやすいkintoneの画面だけを操作すればOKです。事務所にある古い基幹システムの画面を開く必要はありません。 kintoneに入力された情報のうち、基幹システムに必要なデータだけを裏側で自動転記・連携させることで、莫大なリプレイス費用をかけずに現場の転記ストレスをゼロにします。

修理受付の「たらい回し・転記地獄」がこう変わる

たとえば、機械や設備の修理受付業務で考えてみましょう。

これまでの日常(Before):

  1. お客様から修理の電話を受ける

  2. 古い基幹システムを立ち上げ、契約番号を検索する

  3. 内容を手書きでメモし、Excelに入力し直す

  4. 担当者へメールで引き継ぎ、進捗を電話で確認する

  5. 修理完了後、再び基幹システムへ手入力する
    👉 「探す・転記する・電話で確認する」だけで1日が終わってしまう

kintoneと共存させた場合(After):

  1. 受ける:電話を受けたら、担当者はkintoneの画面を開いてそのまま状況を入力(外出先ならスマホからでもOK)。

  2. つながる:お客様名を選ぶだけで、裏側で連携した基幹システムから「購入日」や「保守契約の有無」がkintone上にパッと自動表示される。

  3. 共有される:手配状況や進捗はkintone上でリアルタイム共有。誰宛ての問い合わせでも、チーム全員が即座に状況を把握できる。

  4. 戻す:修理が完了したら、kintoneで「完了」ボタンを押すだけ。必要な確定データだけが自動で基幹システムに届き、請求データになる。

基幹システムには指一本触れていないのに、現場の転記作業と確認電話はゼロになります。

既存システムが担う役割

システムを繋ぐ役割

kintoneが担う役割

AIと人が担う役割

既存システムの記録と処理を維持

API、連携ミドルウェア、バッチ、CSVで必要項目を変換

現場入力、依頼、進捗、会話、権限、業務データを管理

要約・分類・検索・分析を補助し、最終判断は人が行う

どうやって繋ぐ? 業務に合わせた5つの連携アプローチ

このように「金庫(基幹システム)」と「窓口(kintone)」の役割を分けた上で、次に考えるのが「裏側でどうデータを行き来させるか(連携方法)」です。 自社のシステム状況や「どれくらいのスピードでデータを反映させたいか」に合わせて、最適な接続方法を選びます。

連携方法

仕組みについて

向いている業務

注意すること

必要な時に自動で連携する(REST API)

ボタン操作や処理の実行時に、既存システムとkintoneの間で必要な情報を取得・登録・更新する

数分以内またはすぐに情報を反映したい業務

接続権限の管理と、失敗した場合の再実行方法を決めておく

更新をきっかけに連携する(Webhook)

kintoneでデータが登録・更新されたことを外部システムへ通知し、通知を受けた側が処理を行う

kintoneへの登録やステータス変更後、すぐに外部処理を始めたい業務

通知を受け取って処理する仕組みと、失敗時の確認方法が必要

決まった時間にまとめて連携する(定時バッチ)

5分ごと、1時間ごと、毎晩など、決めた時間に追加・更新された情報をまとめて連携する

即時反映が必要なく、数分から1日程度の遅れを許容できる業務

前回どこまで処理したかを記録し、重複や処理漏れを防ぐ

ファイルで情報を受け渡す(CSV・ファイル)

既存システムから出力したファイルをkintoneへ取り込み、またはkintoneから出力して受け渡す

日次・週次・月次の連携で十分な業務や、APIを利用できないシステム

項目の並びや形式を統一し、二重取込や取込漏れを確認できるようにする

画面操作を自動化する(RPA)

人が行っている画面入力や転記の操作を、ロボットに代行させる

APIやファイル出力機能がなく、ほかの方法で連携できない場合

画面変更で動かなくなる可能性がある為、基本的には一時的な方法として利用する

現場データが整うからこそ、はじめて「AI」が武器になる

そして、この「共存」がもたらす最大のメリットは、会社の中に「生きたデータ」が集まり、AIを活用できる土台ができることです。

古い基幹システムの中には「数字の羅列(過去の売上や品番)」しか入っていません。そのため、最新のAIを導入しようとしても、参照できるデータがなく何もできませんでした。

しかし、現場の日報、顧客とのやり取り、問い合わせ内容、現場写真がkintoneに集まるようになると、AIは驚くほど頼もしいアシスタントになります。

  • 「過去の似たような修理トラブル」をAIが瞬時に探し出してくれる

  • お客様からの長い問い合わせ文をAIが要約し、担当者を自動判定してくれる

  • 蓄積されたデータを見て「そろそろ部品Aの点検時期です」と、AI自らが提案してくれる

「AIを入れるためにシステムを全部新しくする」のではなく、「現場の困りごとをkintoneで小さく解決した結果、自然とAIが動く土台が手に入る」。これこそが、中小・中堅企業が最短距離でDXとAI活用を成功させるルートです。

あなたの会社はどっち?「共存」が向いている業務

次の項目に1つでも当てはまる業務があれば、全置換よりも「共存」で進めるべきサインです。

  • [ ] 基幹システムの計算や処理は安定しているが、入力画面がとにかく使いにくい

  • [ ] 同じ取引先名や金額を、基幹システムとExcelの両方に二重入力している

  • [ ] 現場の依頼、写真、進捗確認がメール・LINE・紙に散らばっている

  • [ ] 「あの人が現場から戻ってこないと、今の状況が誰にも分からない」

  • [ ] 全体を入れ替える数千万円の予算はないが、困っている1つの業務なら改善したい

まとめ:まずは1つの業務の棚卸しから始めませんか?

既存システムの強みである安定した処理能力はそのまま活かし、kintoneを現場の入力・管理基盤(フロントエンド)として活用しながら、蓄積されたデータをAIで整理する——。この「共存(Co-existence)」アプローチこそが、リスクを抑えて確実に業務を改善する近道です。

株式会社ノベルワークスでは、「既存システムをすべて置き換える」前提の提案ではなく、お客様の現在のシステムや業務フローを丁寧に紐解き、「残す」「繋ぐ」「新しく作る」の最適な境界線を設計・実装いたします。

「自社のあの業務なら、まずは小さく繋げられるかもしれない」と感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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